https://about.facebook.com/realitylabs/projectaria/
米フェイスブックを率いるマーク・ザッカーバーグ氏は7月末に開催された決算発表の場で、スマート機能を搭載したメガネこと「スマートグラス」への取り組みを確認した。同社はサングラスブランド「レイバン」とコラボレーションした製品を、年内にも投入する予定だ。
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フェイスブックがスマートグラス開発について明かしたのは、これが初めてではない。同社は以前から社内プロジェクト「Orion」としてスマートグラスを開発しており、レイバンとのコラボレーションや2021年の発売が明かされたのは、2020年のイベント「Facebook Connect」でのことだった。
フェイスブックは現時点では同社初のスマートグラスについて詳細を明かしていないものの、ザッカーバーグ氏は「レイバンの特徴的な形状を取り入れつつ、素晴らしい機能を備えている」と語っている。また同社は以前、最初のスマートグラスはディスプレイを搭載しないとも明かしていた。
これらの情報を総合すると、フェイスブックのスマートグラスは米グーグルの「Google Glass」のようなディスプレイ付きの高度なデバイスというよりも、マイクとスピーカーを搭載し音声で操る米アマゾンの「Echo Frame」のような製品になる可能性が高い。製品機能がシンプルであれば、レイバンらしいデザイン性の高い外観も期待できるはずだ。
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ザッカーバーグ氏は決算発表の場で、「将来の完全なAR(拡張現実)グラスに向けて前進を続ける」とも語っている。ARグラスとはレンズに映像を投影することで、現実世界の上に仮想世界をオーバーレイ表示する製品だ。現実世界を歩き回ってモンスターを捕まえるシステムにより大きなブームとなった「ポケモン GO」も、ARの活用例の一つだ。
ザッカーバーグ氏は「メタバース」と呼ばれる、大きな目標を見据えている。これは人々がARやVR(拡張現実)により交流を持ち、経済活動を生み出す状態を意味する。フェイスブックはメタバースを実現すべく、VRヘッドセットメーカー「Oculus」を2014年に買収し、自社が得意とするソーシャルネットワークサービスとの融合に取り組んできた。
ARグラスの開発に取り組んでいるのは、フェイスブックだけではない。SNSサービスの「Snapchat」を提供するSnapは今年5月に新製品「Spectacles(第4世代)」を発表しており、米アップルやサムスンによる製品投入も噂されている。AR業界のビジネス的なうまみがどれだけ大きいのかは不透明だが、テック企業は他社を出し抜くべく研究開発に取り組んでいる。
https://www.idropnews.com/rumors/apples-ar-glasses-prototype-has-just-entered-phase-two/150246/
スマートフォンやスマートウォッチなど数多くの分野でイノベーションを起こしてきたアップルも、虎視眈々と新たな市場を狙っているようだ。噂によれば同社はスマートグラスだけでなく、ゴーグルのように形状のVR/ARヘッドセットの開発もすすめているという。
アップルのスマートグラスに関する事前情報によれば、製品は「Apple Glass」の名称で499ドル(約5万5000円)と廉価に投入されるとのこと。デザインは一般的なメガネに近く、iPhoneと連携させて動作。製品の投入は2025年までと予測されている。
一方でARヘッドセットの噂情報によれば、本体にプロセッサを搭載することで単独での動作が可能。また多数のカメラを搭載することで、アイトラッキングやビデオシースルー(外の映像の取り込み)といった高度な機能を実現。製品は2022年に投入されるという。
スマートグラスやヘッドセットといったウェアラブル分野は、パソコンやスマートフォンの次に大きく成長する分野だと見込まれている。フェイスブックのレイバンコラボによるスマートグラスが、どのような消費者の反応で迎えられるのかに注目したい。
文/塚本直樹
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