今回取り上げるのは、クロスゾーンの頭外定位ヘッドフォン第2弾「CZ-10」(税抜9万円)。2016年に登場した「CZ-1」(同25万円)で追求した、広がりのある自然な音色・音像定位、自然な装着感といったコンセプトはそのままに、小型・軽量化と低価格化を実現したモデルだ。
クロスゾーンの頭外定位ヘッドフォン第2弾「CZ-10」CZ-1で注目を集めたのは、ヘッドフォン独特の頭内定位をアコースティックな手法で緩和し、広々とした音場感と目の前に音像が現れるような頭外定位の再現を可能にしたこと。ヘッドフォンらしからぬ聴こえ方は新鮮で、大きな話題となった。その後、国内外の数多くのオーディオイベントに出展し、ユーザーへのデモを行なってきたが、そのときの要望が「もう少し手の届く価格のものが欲しい」というもの。そんな要望に応えるため、基本となるコンセプトや音質はそのままに、より手頃な価格とし、大柄なサイズや重量もコンパクトにした2号機の開発がはじまったという。
「CZ-10」既存モデルの「CZ-1」クロスゾーンは亜州光学という台湾の会社の社内カンパニーだ。亜州光学の東京事務所を拠点とし、製品の生産や開発は長野県岡谷市にある自社工場で行なっている。そして、製品の企画や開発には、国内のオーディオメーカーで活躍したOBが数多く集まっているという。会社自体は海外の企業ではあるが、クロスゾーン自体は限りなく国内ブランドに近いと考えていいだろう。
亜州光学は、もともとカメラのレンズのOEM生産などで世界的に活躍している会社で、レンズなどの光学部品をはじめ、それらに関わるさまざまな事業を手がけている。国内のオーディオメーカーのOBが結集した理由も、もともとCDやDVDなどで使われるピックアップ(半導体レーザーを使った信号読み取り装置)の生産で古くから亜州光学と関わりがあったためだそうだ。
集まった日本のオーディオメーカーのOB達は、TADやパイオニアのEXシリーズなどを開発に関わった面々であり、スピーカーについてはかなり実績を持っているが、ヘッドフォンについてはほとんど経験がなかったという。そんな面々が自らの知見を最大限に活かし、しかも実績のあるヘッドフォンメーカーやブランドに負けない製品を作りたいと考え、頭外定位というユニークなコンセプトを掲げることになったのだ。
カテゴリー
関連記事
ホット記事