MUSIC HACK DAYは2012年にロンドンとボストンでスタートした、音楽をテーマにしたハッカソン。そのロンドン、ボストンのほかにも、パリ、ニューヨーク、ヘルシンキ、トロント、ストックホルム、カンヌ……など13カ国20都市で開催されてきたイベントだ。東京では2014年にスタートし、今回で4回目。MUSIC HACK DAY Tokyo 2019事務局によると、世界的な主催者がいるというわけではなく、「この趣旨に賛同してくれれば、MUSIC HACK DAYという名前、ロゴを使って、世界各地でやっていいですよ、となっているんです」とのこと。参加者からは参加費を取らずに、場所や食事、機材などを提供するというのも、世界共通のようだ。
もちろん、そのためには予算や場所などが必要となるわけだが、それは協賛企業を集め、そこから捻出している。その協賛企業として場所を提供したLINEのほか、レコチョク、ソニーミュージック、TuneCoreJapan、Amazon、ツクモ……といった会社が参加していた。
パートナー企業これら協賛企業からは機材の貸し出しやAPIの提供もあった。具体的にはVR機材としてVIVE PROやOculus Go、Gear VR、モーションキャプチャツールとしてPERCEPTION NEURON PROなど、APIとしてはLINEの各種Messaging APIやClova Extension Kit、レコチョクの歌詞検索APIなど。とはいえ、これらを使うことが必須というわけではなく、開発するメンバーが必要であれば使うことができるという形になっていた。
実際、現場に行ってみると、よく見かける人もチラホラ。筆者もよく音系のハッカソン現場を取材しているが、やはり音系を狙って攻め入る常連エンジニアは少なくなく、そうした人たちがここに集結していたわけだ。もっとも、今回のテーマはやや抽象的。「テクノロジーで音楽表現をアップデートせよ」というものであり、特定の機材を使うとか、指定のAPIを使うといった縛りもなく、自由。「いまある音楽表現をテクノロジーを使ってアップデートしようというコンセプトです。VRとかモーションキャプチャを使う製品などが多くなるのでは、と思っています」と、事務局の担当者はハッカソンの初日に語っていた。
もともと80人以上が申し込んでいたそうだが、参加費が無料ということもあったためか欠席も多かったようで、実際の参加者は50人を下回ったという。集まったメンバーは、初日の午前中に、自分のやりたいことをプレゼンテーションし、それを元にしてチーム分け。結局1人チームも含めて13チームに分かれて開発がスタートした。この13チームとは別に事務局側から声をかけたエキシビションチームというものがあった。それがよしもとクリエイティブ・エージェンシー所属のYouTuber、藤原麻里菜さんを中心とした3人の開発チームだ。藤原さんは「無駄づくり」をテーマに無駄でくだらないモノを作るビデオブログを展開するYouTuber。その藤原さんが音楽、音の世界での作品開発に呼ばれたわけだ。ただし、エキシビジョンチームは審査の対象外、一般から集まった13チームの中から審査員が最優秀賞を決めるとともに、協賛企業のうち3社がそれぞれの賞を出すという形だ。
カテゴリー
関連記事
ホット記事