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Netflixとアマプラがぶち壊した「番組の国境」|au Webポータル経済・ITニュース


家庭用テレビで映像配信サービスを見るのはもはや当たり前?(編集部撮影)

かつて”黒船”と呼ばれた海外映像配信サービスだが、各サービスが地域ごとの視聴者に向けたコンテンツ開発に力を入れた結果、日本でもクリエイターがより豊富な予算でものづくりできる環境が整ってきていた。が、状況はさらに一歩進んでいる。

制作予算が映像配信サービスを中心に回り始めただけではなく、映像制作にまつわるさまざまなノウハウ、サービス、あるいは人材に至るまで幅広く調達可能になってきたことで、映像制作の枠組みがより国際的になってきている。

さらに日本発信の番組企画の海外現地制作が広がるなどの事例も増え始め、スポーツのビッグイベントに関して映像配信サービスがネットを通じたライブ配信の独占権を獲得するなど、映像製作、ライブ配信などのお金の動きは急速に変化している。

こうした変化を”黒船”という言葉で表現すべきかどうかは疑問が残るところだ。

良しあしはともかく、テレビ局を中心に巡っていた制作予算の流れが国内外の映像配信サービスへと移り変わり、むしろ日本人クリエイターにとっては才能を生かせる場が広がっていると考えられるからだ。

先日、Netflixは日本向けにオリジナル制作、あるいは独占配信の権利を取得している一連の作品を発表した。ハリウッドで製作される実写映画版『ONE PIECE』が話題に上っていたほか、アニメからドラマに至るまで幅広い作品に投資が今後も継続的に予定されている。

同社が日本向けの投資を始めた6年前(2015年)は、制作済みあるいは制作進行中のタイトル買い付けが目立っていた。資金力にものを言わせ、集客できるコンテンツを買いあさる外資といったわかりやすいパブリックイメージを持った読者もいたかもしれない。

今年4月、東宝との提携で実現した日本に制作スタジオを構えるに至ったことに加え、日本企画のオリジナル作品が増加、今後も次々に制作が予定されていることを考えれば、日本市場(だけではなくNetflixが観られている各国)に対して、ローカル投資を加速させていることは明らかだ。

Netflixの日本法人立ち上げ時から、映像作品の調達やオリジナル作品の企画制作を指揮してきたコンテンツ・アクイジション部門バイス・プレジデントの坂本和隆氏は「(テレビ番組や邦画に比べ)大きな予算を投じて制作されることに注目する声もありますが、クリエイターからは、グローバルのチームで作品作りに取り組めることを評価していただいています」と話す。

例えば日本制作で海外でも多く視聴されたの連続ドラマ『今際の国のアリス』ではほとんどの街の風景がVFXで描かれているが、それがVFXであることを意識させない高品質だ。

Netflixシリーズ『今際の国のアリス』Netflixにて全世界独占配信中(写真:Netflix)

異世界の中に迷い込んだ主人公たちをリアルに描くため、日本人なら誰もが知っている空っぽの東京を高品位に描かなければならない。動物との戦い、水攻めのシーンなど、日本のドラマ制作では考えられないようなシーンばかりが続く。

こうした映像制作が可能になったのは、Netflix本社の制作サポートチームがハリウッド映画やアメリカドラマシリーズの制作実績のあるVFXスタジオを手配。グローバルの制作チームで作品を作っているからだ。

「例えば生きた虎が登場するエピソードがありますが、生々しくリアルな動きの虎を登場させるため、ライフ・オブ・パイ(虎とともに小さな舟で漂流する映画作品)で虎のVFXを担当したチームを探しサポートを依頼しています。世界中にあるさまざまな経験を持つ制作チームを、日本制作の作品でも利用できる体制を整えています」(坂本氏)

Netflixのオリジナル作品は、どれも高品位な映像フォーマットとサラウンドの音声トラック、多数の吹き替え言語と字幕などが用意されるが、それはもちろん日本制作のものも同じだ。

「日本だけではなくNetflixが観られているすべての地域で楽しんでもらえること」(坂本氏)を前提に映像作品に投資を行っているため、そうした映像フォーマット、音声フォーマットはもちろん、作品の質そのものも世界的に通用するものにするという考えがあるという。

”ハリウッド作品並み”という月並みな表現になってしまうのは、世界中で観られているハリウッドの娯楽作品が、すべてのNetflixオリジナル作品のベンチマーク、評価基準になっているためだ。

例えばNetflixが2023年12月に配信予定の実写版『幽☆遊☆白書』も、グローバルチームで取り組まれる。漫画を原作とするこの作品は、人間界、魔界、霊界を行き来する壮大な世界観を持ち、個性豊かなキャラクターやクリーチャーが登場する。「世界中のクリエイターネットワークを駆使してVFXを練り上げる。制作期間が長いのは、オリジナルのコミックに登場する表現をVFXで効果的に見せるために丁寧に作り込んでいるからです。SF世界を丁寧に描くには、どうしても予算と時間がかかります」と坂本氏。

そして品質を上げ、グローバル品質に仕上げて配信することで海外でも観てもらえる作品になるという。

「3年前、『全裸監督』が公開された後、LA滞在中にホテルのバーで居合わせた映画監督と会話しているとき、日本の映画・ドラマプロデューサーだと言うと、『全裸監督』は観たほうがいいと勧められ、驚いたことがあった」と、坂本氏自身が驚きの体験。そこで気付かされたのは”日本感の追求、日本でのクリエイティブを突き詰めること”が、グローバルで戦ううえで重要ということだ。

こうした考えは日本でのパートナーとも共有できるようになってきているというが、さらにこれから作品を生み出していく若い世代を発掘することにも着手し始めた。

『万引き家族』や『誰も知らない』といった作品で知られる是枝裕和監督とは映画、連続ドラマの制作で手を結んだ。映画はかつてない大規模予算で進んでいる一方、連続ドラマは全体のプロデュースを手掛けつつ、数話を自ら監督する一方で、若手映像クリエイターを起用してエピソードを作っていく。

一方、Amazonプライムビデオはこれまで『バチェラー』『バチェロレッテ』といった恋愛リアリティショー、海外での現地制作が急増中の『ドキュメンタル』シリーズなどがヒットしてきた。映画、連続ドラマの自主企画制作作品を準備しているが、6年間取り組んできたNetflixに追いつくには少し時間がかかるかもしれない。

Netflixとアマプラがぶち壊した「番組の国境」|au Webポータル経済・ITニュース

しかし企画する作品の幅広さという意味では、Amazonプライムビデオのほうが上だ。

日本市場向けに版権を取得、自主制作した音楽バラエティーショー『ザ・マスクド・シンガー』は、日本の一般的なバラエティ番組とはレベルが異なる予算をかけて製作されていることがうかがえる。

明確な数字は公表していないが、出演者はもちろん、観客に対しても徹底したPCR検査を実施し、大規模シアターを長期間貸し切りで撮影。さらに出場者となる12人のセレブ全員が、決勝まで残ることを想定して、半年もの準備期間をかけて演出を決め、歌とダンスのトレーニングを受けて撮影に挑んだ。

『ザ・マスクド・シンガー』(写真:Amazonプライムビデオ)

セレブに付き添うマネジャーも顔を隠して会場入りし、会場内の動線も完全に分離する徹底ぶりで、予定調和のない”ガチの”ライブパフォーマンスバトルを勝ち抜いていく。

もちろん、予算の大きさや演出の派手さと面白さが比例するわけではないという意見もあるだろう。しかし、ここで注目したいのは”お金の流れが変化しただけ”ということだ。かつて邦画黎明期に映画にお金が集まり、テレビの発達とともにテレビ局がクリエイターたちを集めた。

Netflixの制作で予算の大きな映画や連続ドラマが日本でも作られるようになったのと同じように、日本でヒットした番組企画・演出が、海外へと輸出され成功を収め始めている。

中でも最も大きな成功を収めているのが松本人志の『ドキュメンタル』だ。

日本での再生回数急伸が、Amazonプライムビデオの各国マーケティングチームの目に留まり、各国言語の字幕入りで配信が始まると”笑ってはいけない”というユニークなフォーマットが話題を呼び、オーストラリアやドイツなどで現地制作が始まった。

現在、日本を含めると10カ国で制作される人気番組となっており、日本のAmazonプライムビデオからも視聴可能だ。ドイツではシーズン3制作がすでに決定済みで、現地のコメディ賞(Deutscher Comedypreis)の「最優秀コメディショー」を受賞。それらすべての番組に「HITOSHI MATSUMOTO」という冠がついている。

映画やドラマだけではなく、フォーマット輸出という以前から成功を収めていたルートでのコンテンツ輸出も、今後は映像配信サービスを経由することが多くなっていくのではないだろうか。

NetflixやAmazonプライムビデオなど世界各国で配信されているサービスでは、他国での視聴動向を見渡すことができる。加えてAIがユーザーの視聴動向から”おすすめ”するため、国境、人種、文化などの壁を越えることができる。

韓国制作のドラマシリーズ『イカゲーム』が世界的な大ヒットとなり、Netflixでグローバル1位を獲得したことは記憶に新しいが、同じく韓国制作の『地獄が呼んでいる』も最近、同じくグローバルでのトップ視聴数を記録した。

日本制作では前出の『全裸監督』も話題になったが、日本発のファンタジーとして『今際の国のアリス』が40カ国でトップ10入り。第2シーズンでのさらなる飛躍が期待されている。

かつて、カンヌの映像コンテンツ見本市(MIPTV、MIPCOM)の取材をしているときには、とりわけ実写作品における人種の壁を強く感じていた。バイヤーたちはリスクを避けるため、登場する俳優が自国民と視覚的に大きく異なる作品を敬遠しがちだった。

前出のNetflix・坂本氏は「どの国、地域の作品かは誰も気にしていない。AIによるおすすめなのか、あるいはキービジュアルが興味を引いているのか。作品ごとに状況は異なるが、スペインや韓国の作品がウケていることを考えれば、かつてのような制約はありません。バイヤーが間に入ることなく、ダイレクトに視聴者につながることで(作品そのものの)良さが受け入れられているのだと思います」と話す。

はた目には、ドラマや映画、アニメが得意なNetflix、リアリティショーやゲームショーが得意なAmazonプライムビデオという構図が透けて見えるが、あくまでも登録しているユーザーが求めるものに、各社が投資をしているというのが正しいだろう。

DVDのレンタルからスタートしたNetflixが連続ドラマや映画に投資するのは理にかなっている。ECサイトの会員向けサービスとしてスタートしたAmazonプライムビデオが、より幅広くバラエティに富んだラインナップになるのも当然だろう。

残念ながら新型コロナの影響で延期になってしまったが、村田諒太対ゴロフキンというビッグマッチの中継にテレビ局が絡めず、Amazonプライムビデオが国内での独占配信権を獲得した。

国内の配信サービスもU-NEXTが、テレビ局が手を出しにくい格闘技の試合に力を入れ始めている。先日行われたアメリカ格闘技団体・ベラトールで堀口恭司選手がタイトルマッチを行った際には、U-NEXTが独占配信を行っていた。

いうまでもなく、プロ野球やJリーグ、F1などのファンならDAZNに加入している方も多いだろう。

家電メーカーが開発するテレビ受像機も、テレビを受信して表示するのは当然として、いかに快適にそれらの映像サービスに接続、視聴できるか。新しいサービスに柔軟に対応できるかが重要になってきている。

Netflixの坂本氏は「これからの5年で間違いなく起きるのは、映画や連続ドラマの制作、配信で”国境”がなくなるということ」だという。

「以前ならば映画祭などで”誰かに見つけてもらう”ことがなければ、才能を披露する場を得られなかった。『パラサイト 半地下の家族』のポン・ジュノ監督がタランティーノ監督に”僕を見つけてくれてありがとう”とコメントしたが、世界中のクリエイティブを可視化することは不可能でした」(坂本氏)

Netflixコンテンツ・アクイジション部門バイス・プレジデントの坂本和隆氏(筆者撮影)

しかし世界中どこからでも、あらゆる国の映像作品を、現地の言語で楽しめることが当たり前になってきた。視聴者にとっての利便性はもちろんだが「作り手も刺激し合え、その成果もランキングという数字で見える。すると才能が見える化し、クリエイター同士のネットワークも広がります。世界の才能ある監督、撮影監督、脚本家、俳優が相互を認識することで、新しいクリエイティブが生まれるでしょう」(坂本氏)とのことだ。

一方、Amazonプライムビデオは2020年、東京国際映画祭と並行して開催されていたコンテンツマーケットTIFFCOMで責任者が基調講演を行い「われわれはさまざまな才能を持つ映像クリエイターの”ホーム”になりたい。日本の才能あふれるクリエイターとともにありたい」と、日本市場への積極投資を意志表明していた。

その成果として東京国際映画祭では今年から若手クリエイターの支援を目的に「Amazon Prime Video テイクワン賞」を制定している。

Amazonスタジオ・アジアパシフィックの責任者、エリカ・ノース氏は「日本のクリエイターが想像もしていなかったような機会を提供したい」とコメントしているが、その言葉の先にあるのはNetflixがそうであるようにグローバルでネットワーク化されたスタジオ機能を、日本からも利用できるようにすることだ。

さて、かなり長くなってしまったが、最初の話に戻ろう。

NetflixやAmazonプライムビデオは黒船なのだろうか? 視点によってはテレビ局に代わって映像作品を消費者に届けるようになった”強者”ではある。しかし、この革命的な変化で最も恩恵を受けるのは才能あるクリエイターたちに違いない。日本のクリエイターだけではなく、世界中のクリエイターがグローバルで活躍する機会が得られる環境が、今年、来年はこれから”当たり前”になっていく。そのスタート地点になるだろう。


13 / Nov / 2022 デジタル

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