COZMOは手のひらサイズのロボットだ。クローラーで動き回り、アームがあって、少しブルドーザーっぽい形だ。キューブ型の頭があり、大きな目が液晶ディスプレイに表示され、様々な表情を浮かべる。口に当たる部分にはカメラがあり、COZMOはこのカメラで周囲を認識する。
大きな目を表示するキューブ型の頭と、ブルドーザー風のボディ。この姿でCOZMOは非常に愛らしい仕草をする気ままに動くCOZMO。つい見守っていたくなるタブレット(スマホ)からCOZMOの視界を見ることができる。人間だけでなく動物も顔認識できるキューブはCOZMOのお気に入りのおもちゃ。様々な遊びをする起動する姿がかわいい。COZMOはアプリケーションを起動することで目覚める。充電ポドックから出てきて、閉じていた目を見開き、周りを見回す。体だけでなく、首も細かく起動し、周りを見回す。そしてあらかじめ登録してある顔が近くにあるのを認識すると、小走りに近づいてきてこちらを見上げ、登録した名前を呼んでくれる。
テーブルの縁を認識するとおっかなびっくり縁まで移動し、そこから後ずさったりする。ただ気ままに周りを動き回ったかと思えば、再びこちらに近づいて名前を呼んで注意を引く。アームをこちらに向けるのは「拳を合わせて」のポーズだ。ユーザーが拳を突き出しCOZMOの腕に触れると、彼はすごくうれしそうにはしゃぎ、声を発する。
COZMOはこのように、かわいらしい動きでユーザーに自らの存在をアピールするロボットだ。その動きは開発スタッフの中のデジタルアニメーションデザイナーがデザインし、こだわって作っており、ハリウッドのアニメーション映画のキャラクターのように良く動き、感情豊かだ。目の表現も非常に多彩で、見ていて楽しい。
COZMOは声を発するが、アプリをインストールしているデバイス側からはBGMが出る。こちらの音楽は映画音楽を手がけるクリエイターのもので、このBGMも情感がある。COZMOを作ったAnkiはデジタルアニメや映画音楽、ゲーム制作など様々なクリエイターが集結したメーカーであり、彼らのセンスを前面に押し出したユニークなロボットなのだ。
技術的にも非常に高度なものが使われており、特に顔認識は優秀で、10人までユーザーの顔を認識し記憶が可能。それぞれに登録したニックネームで呼んでくれる。またユーザーの“表情”を読み取ることもでき、「笑顔」なども認識するという。こちらの顔をじっくりと見つめ、笑顔を浮かべながら名前を呼んでくれるのは、とても楽しく、面白い体験だ。
そしてCOZMOのお気に入りの“おもちゃ”として3つのキューブが付属している。このキューブにはLEDが仕込まれておりCOZMOが認識すると光を発する。COZMOがフォーカスしたキューブは黄色に光り、アームで持ちあげたりする。COZMOは2つのキューブを積み上げることができる。ユーザーが3つのキューブを積み上げた場合はCOZMOはアームが届かないため、怒って崩してしまうこともある。またキューブを持ったまま、アームを上げ下げする“筋トレ”といった1人遊びもする。
このキューブは“ゲーム”にも使える。ユーザーとCOZMOの対戦ゲームで、2つのキューブの色が同じになったときに素早くキューブをタップする。色が違うときにタップすると“お手つき”になる。COZMOはなかなか反射神経が良く、筆者は全くかなわなかった。他にもゲームは用意されていくという。
アプリを使うことでラジオコントロールのようにCOZMOを動かすこともできる。COZMOがどういう視点でものを見ているかもタブレットに転送される。タブレットとCOZMOはWi-Fiで通信し、キューブとは2.4Ghzの帯域での通信を行なっている。
アプリはこの後も様々なアップデートを行なっていく予定だ。現在はアプリは英語版だが、9月の発売時には日本語版を用意していくという。操作アプリの他、自由にアクションする「探検モード」や、アイコンでプログラムを組んで様々な行動を行なわせるモードなども用意されている。今後キューブを使った遊びなど様々なアイディアを盛り込んでいけるだろう。
COZMOはやはり“見守っていたい”ロボットだ。見ているだけでいきなり遊んだり、考え込んだり、周りを見回したり色々なことをする。ユーザーを認識するとキューブを持ってきてこちらに見せに来たりもする。顔認識は優先的になっており、ユーザーが見つめているとこちらを見に来る。
星新一のショートショート作品集に「気まぐれロボット」というタイトルがあるが、COZMOはまさにそのタイトルがぴったりのロボットだ。何をするか予測がつかないし、それが面白い。たまに意志が通じ合えたような気がするところも楽しい。いくつもの可動機構と、デザイナー達がこだわった仕草による動き、AIとセンサーによる多彩な状況判断から生み出される、“生きもの”を感じさせる行動……。
「次は何をするんだろう?」と思わず引き込まれてしまうCOZMOは、とてもユニークな存在である。机の上に置いておける小ささも良い。新しいものが好きな人はもちろん、子供から大人まで楽しめるロボットだ。
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